2026-10-03
【最後の一葉、最後の歯】誰かにとっては命に等しい歯の物語 #意図的再植術 #歯を残す治療 #チェ・ヨンフン院長
重度の損傷により抜歯寸前となった歯を残すため、地方から訪れた患者様のエピソードをご紹介します。失敗のリスクや不確実性を受け入れつつ、患者様の強い想いに寄り添い、安易に抜歯せず天然歯を残すための歯科治療の姿勢と想いを綴ります。


最近はどこに行っても「二極化」という言葉をよく耳にしますが、
歯科の世界でもまさに二極化の時代へと向かっているように感じます。
「これは到底無理だろう」と思えるほど外側しか残っていない歯を、どうか残してほしいと懇願される患者様が
次第に増えているのを見ていると、
ほんの数年前にはこのような患者様がいらっしゃっただろうかとさえ思います。

地方からお越しくださった中年の患者様。
「これ以上インプラントはしたくないので、何とかしてこの歯を残してほしい」とご来院されました。
折しもソウルに初雪が降り、移動も大変な日でしたが、前日入りして宿を確保され、
朝早くから歯科医院に来てくださいました。
さまざまなご事情があったようで、私に会うなりこれまでの歯科治療のストーリーを打ち明けてくださいました。
この患者様に限らず、今この瞬間にも同じような思いを抱えている方が大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
問題は、歯の損傷があまりにも激しく(写真参照)、
正直なところ全く自信が持てないという点でした。
抜歯処置の途中で折れてしまえば私自身も胸が痛みますし、患者様が受ける失望の大きさを思うと、
本音を言えばいっそ治療しない方が良いのではないかという考えもよぎります。
しかし難しく考える必要はなく、患者様ご本人がどのような結果であれ受け入れるとおっしゃっており、
歯を残す試み自体が患者様の全身の健康や命を脅かすものではないため、
治療に踏み切ることにしました。

おっしゃる通り、失敗する可能性もあります。
また、せっかく残せても長くはもたないかもしれません。
それでも、これ以上安易に歯を抜いて捨てたくないという
患者様の切実な想いに寄り添うならば、
他人の身体の一部だからといって
「もう抜いてしまいましょう」と簡単に言ってはいけないと思うのです。
小説『最後の一葉』で、冷たい風の中でも最後まで散らなかった木の葉を見て生きる希望を取り戻した主人公のように、
苦労して残したこの一本の歯は、患者様にとっての「最後の一葉」なのです。
詳しい経緯はYouTubeの動画をご覧ください。

#意図的再植術 #チェ・ヨンフン院長 #歯を残す治療
よくある質問
ひどく損傷した歯でも、必ず抜歯しなければならないのでしょうか?
いいえ、抜歯せずに歯を残す試みが可能な場合もあります。歯の損傷が著しく、外側の薄い部分しか残っていない状態であっても、患者様の歯を残したいという強いご意志や患部の状態によっては、失敗のリスクを考慮した上で保存治療を検討することができます。
歯を残す治療は必ず成功しますか?
必ずしも成功するとは限らず、失敗に終わる可能性もあります。損傷が極めて進行している歯の場合、治療の途中で破折してしまう危険性があり、治療が成功したとしても使用できる期間が長くないケースもあるため、こうしたリスクを事前に十分ご理解いただく必要があります。
すでにインプラントが入っていても、天然歯を残す治療は可能ですか?
はい、状態によっては天然歯の保存治療を試みることができます。本文の患者様もこれ以上のインプラント治療を避けるため、損傷の激しい歯を残したいとご来院され、ご本人の強い希望に沿って保存治療を進めました。
ひどく損傷した歯を残すと決断する理由は何ですか?
何よりも患者様ご自身の「天然歯を残したい」という切実な想いがあるからです。治療の失敗リスクや歯の寿命が短い可能性といった不確実性を受け入れる覚悟を患者様が持たれている場合、安易に抜歯するのではなく、最後の希望として治療を行うことになります。