2026-09-30
同じ虫歯なのに歯科医院ごとに診断が異なる理由と解決法 #意図的再植術 #歯を残す治療 #チェ・ヨンフン院長
同じ虫歯でも歯科医師により神経を抜くかどうかの判断が分かれる理由を解説。可逆性・不可逆性歯髄炎の違いと、抜歯宣告された歯を保存する専門的な治療方針を紹介します。


多くの方が戸惑われることの一つに、全く同じ虫歯であるにもかかわらず、行く歯科医院によって
「神経の治療(根管治療)をして被せ物(クラウン)をする必要があります」
「神経の治療まではしなくても大丈夫そうです」
このように意見が分かれ、どうすべきか悩まれる患者様が多くいらっしゃいます。
これは歯科治療において、ごく自然なことです。
診断には正解がありますが、治療計画(治療方針)は歯科医師によって異なります
これは極めて正常なことです。
歯科医師自身の経験や診療哲学、そして治療技術によって、どのような治療法を選択するかは変わってきます。
しかしながら、決して変わらない原則が一つあります。
今現在、歯に痛みがある場合、その歯は以下の2つの状態のどちらかに当てはまります。

それは「可逆性歯髄炎」か「不可逆性歯髄炎」か、ということです。
歯の痛みがある場合、特別なケース(重度の歯周病など)を除き、必ずこの2つのいずれかに分類されます。
「可逆性」とは、言葉の通り「元の正常な状態に戻る」という意味です。
痛みの原因を取り除けば再び正常に戻るため、神経の治療(抜髄)を行う必要はありません。
一方で「不可逆性」とは、言葉の通り「二度と元の状態には戻らない」という意味です。
MTAセメントを塗布するなど、どんな処置を施したとしても、すでに神経が不可逆性の境界線を越えてしまっているため、
神経の治療、あるいはそれに準じた専門的な処置を受ける必要があります。
これが歯科医学において最も重要であり、基本となる不変の真理です。
したがって、ご自身の歯が「可逆性」であれば神経の治療は不要であり、
「不可逆性」であれば神経の治療、またはそれに準ずる処置が必要となります。
単純明快ですよね?
しかし、なぜこれが実際にはそれほど単純ではないのかというと、
可逆性と不可逆性の境界線上にある歯の判断が、非常に難しいからです。
状態としては可逆性であっても、痛みの原因が歯のヒビ(マイクロクラック)にある場合は、予防的に神経の治療を行わなければならないこともあります。
また、虫歯やヒビが神経のすぐ近くまで進行している場合、ギリギリの状態であるため、歯科医師であっても正確に
「これは可逆性だ」「これは不可逆性だ」と明確に割り切って判断できないケースが少なくありません。
コップの水が表面張力で満たされ、今にもこぼれそうな状態をイメージしていただければわかりやすいかと思います。
そのため、このような境界線上にある歯で神経を残そうとして後から激痛が出るなど、トラブルを経験したことのある歯科医師ほど、
念のため神経の治療を行いましょうと提案する可能性が高くなります。
無理に神経を残そうとした結果、患者様から「痛みが引かない」と不満やクレームを受けるリスクを避けたいからです。
私の場合、可能性が少しでもあるならば、できる限り神経を残す方法を選択します。
虫歯の選択的除去(Selective Caries Removal)に加え、日本から導入した象牙質再生を促す前処理剤を使用しています。
しかしながら、この方法を用いても、不可逆性歯髄炎へと進行してしまった歯には効果がありません。
最近では、不可逆性歯髄炎を神経の治療をせずに治そうとする試みも見受けられます。
可逆性歯髄炎であれば効果があるかもしれませんが(私の基準では過剰診療ではないかと考えておりますが)、
不可逆性歯髄炎にそのような処置を無理に行うと、歯髄壊死を引き起こし、より深刻な問題に発展する恐れがあります。
可逆性と不可逆性は、東と西、N極とS極、プラスとマイナスのように、決して混同されてはならず、
覆すこともできない歯科医学における根本的な原則です。
いずれにせよ、可逆性歯髄炎の段階で早期に発見し、神経の治療を回避することが患者様にとって最善の選択です。
不可逆性の境界線ギリギリまで放置されてから「神経を取りたくない」と仰られると、治療後の予後が心配で私も気が気でなくなってしまうからです。
詳しい解説は動画をご参照ください。
当院は、抜歯宣告を受けた保存困難な歯を残す治療を専門としております。
一般的な虫歯治療や定期検診・クリーニングのみの診療は行っておりませんので、あらかじめご了承いただけますようお願い申し上げます。

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よくある質問
同じ虫歯なのに、歯科医院によって神経治療の要否が異なるのはなぜですか?
歯科医師の臨床経験や診療哲学、そして可逆性歯髄炎と不可逆性歯髄炎の境界線に対する判断基準が異なるためです。虫歯が神経の近くまで達している場合、明確な判断が難しく、痛みの再発リスクを避けるために予防的な神経治療を提案する歯科医師もいます。
可逆性歯髄炎の場合、神経を取らずに治療できますか?
はい、可逆性歯髄炎であれば神経を残して治療が可能です。可逆性とは、原因を取り除けば神経が元の健康な状態へ回復することを意味するため、虫歯などの原因を適切に除去し、歯を保存する治療を優先的に行います。
不可逆性歯髄炎を神経治療なしで治すことは可能ですか?
いいえ、不可逆性歯髄炎の場合は神経の治療(根管治療)またはそれに準ずる処置が不可欠です。不可逆な状態に達した神経は元に戻らず、無理に神経を残そうとすると歯髄が壊死し、周囲の骨に炎症が広がるなど重篤なトラブルにつながる恐れがあります。
歯にヒビ(クラック)が入っている場合も神経の治療が必要ですか?
はい、クラックによる歯痛の場合、症状の進行具合によって先行的な神経治療が必要になることがあります。歯髄炎自体が初期段階であっても、原因が歯の亀裂である場合は、持続的な刺激や細菌感染を防ぐために神経の処置を考慮する必要があります。
一般的な虫歯の検診や簡単な治療の予約は可能ですか?
申し訳ございませんが、一般的な虫歯治療や定期検診のみの診療は行っておりません。当院は、他院で抜歯宣告を受けた重症の歯を保存する高難度治療、意図的再植術、親知らずの自家移植など、天然歯を残す治療に特化しております。